幸せの種
「ちーちゃん、どうぞ」
穂香に連れられて、千花がカウンセリング室へ現れた。
陽平に促されて、カウンセリング室のドアを開けた千花の目に飛び込んできたのは、たくさんの可愛い猫。
「わあ~! ねこ、いっぱい! すご~い!」
「穂香先生がちーちゃんのために用意してくれたんだよ」
「ちーちゃんの、ために?」
「そう、ちーちゃんのためだけに、特別にね」
その言葉を聞いて、千花は満面の笑みを浮かべた。
「ちーちゃんだけ、とくべつ……」
「嬉しい?」
「うんっ! ちーちゃん、とくべつ、だいすきなの」
「そっか。じゃあまた、ちーちゃんに特別なこと、用意しておくからね」
「なあになあに?」
「まだ内緒。ちーちゃんがいい子にしていたら、できるかも知れない」
「わかった! ちーちゃん、いいこにするから!」
「よし、約束。ゆびきりげんまん」
「はーい」
「ゆびきりげんまん、ウソついても針千本のーまさないから、正直にはーなす。ゆーびきった」
開けられたドアの前にいる穂香に、そっと目配せする。
穂香はほっとしたような表情を浮かべて、カウンセリング室のドアを閉めた。