幸せの種

「ちーちゃん。もしかしてちーちゃんは猫を飼っていたことがある?」


家の中の状況を掴むための足がかりとして、陽平は最初にこの質問を選んだ。


「うん。ママがつれてきたの。ミューっていう、しろいメスのネコだよ」

「そうだったんだ。じゃあ、猫はママがお世話していた?」

「うーんと、ママがいるときはママがエサをあげてたよ。ママがいないときは、おばあちゃん」

「それじゃあ、ママがお世話している方が多かった?」

「……ううん。ママはいないことがおおいから、ほとんどおばあちゃんがやってた」

「そうだったんだ。ママはいない間、どこかでお仕事をしていたのかな?」

「うん。おしごとだって。でも、おばあちゃんはちがうっていってた」

「おばあちゃんは、何て言ってたの?」

「かれしのところ」


……そこまではっきり子どもに伝えてしまっていたのかと、陽平はこっそりため息をつく。

千花はまだよく解っていないようだが、それも時間の問題だ。

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