幸せの種
「ママはね、ちーちゃんがかわいいから、かえってくるときにはおみやげをくれるの」
「そっか。どんなおみやげ?」
「おようふく。ママとおそろいのおようふくのときもあるんだよ」
「それを着て、一緒にお出かけしたことは?」
「あるよ。ママとね、えっと……よくしらないおうち」
――よく知らない家? 彼氏の家、だろうか。多分千花にもわからないだろう。
この件はこれ以上聞かないでおこうと陽平は考えた。
それより。
「ちーちゃんは、今、おじいちゃんとおばあちゃんといっしょに住んでいるんだよね」
「うん。あと、みさちゃん。ママのいもうと」
「ママの妹、ああ、そうか。その『みさちゃん』とは仲良し?」
「……あんまり。みさちゃん、ちーちゃんのこと、きらいなの」
「そう思うようなことがあったんだね」
「みさちゃんだけじゃないよ。おじいちゃんも、おばあちゃんも、みんなちーちゃんのことがきらいなの」
「それは、おじいちゃん達がちーちゃんにそう言ったから?」
陽平が問いかけると、千花は目にいっぱい涙を溜めて、小さな声で答えた。
「ちーちゃんは、うまれてこなければよかったんだって」