幸せの種

「赤ちゃんだった頃は、ちーちゃんもお母さんから特別なお世話をされていたの」

「ちーちゃんも、とくべつ?」

「そう。大変だけど頑張れるのは、お母さんにとって赤ちゃんが……ちーちゃんが、特別大事な存在だからなの」


優しく語りかける穂香の話を真剣に聞くうちに、千花の目に力がこもるのを感じた陽平は、しっかりとした口調で話し始めた。


「この世に生まれてきた人間には、全て幸せに生きる権利がある。君にも幸せに生きる権利がある。ここにいるみんな、ちーちゃんの幸せを祈ってる。家族だけじゃない、他人であっても、君の幸せを祈っていることを忘れないで欲しい」

「うん……」

「だから、生まれてこなきゃ良かったなんて、そんな悲しい言葉を吐いちゃいけない。髙橋先生と穂香先生は、君に出会えて本当に良かったと思っている。君が生まれてこなくちゃ、君に会うこともできなかった。ちしま学園のみんなもそう思っている」

「ちーちゃん、穂香先生とミーシャも、ちーちゃんのことが大好きなの。ちーちゃんとさっきまで一緒に遊んでくれた『りゅうくん』や『コウ兄ちゃん』もそう。みんな色々あってここにいるけれど、自分にできることを頑張っているから」

「うん……また、りゅうくんとあそべるかな」

「もちろん。帰る日までたくさん遊ぶといいよ。もちろん、宿題も終わらせなきゃね」

「うんっ!」

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