幸せの種
「千花、勉強についていけるか?」
「……うーん、何とか。穂香先生が室担になったから、これからは見てもらえると思うし」
「そうだったな。俺は高橋先生がいなくなったから、学ボラが頼りだ」
「今日は学ボラさんが来る日だったね。早く帰らなきゃ」
「おう。授業終わったら速攻で帰って勉強見てもらうから、千花も遅れるなよ」
「うん。玄関で待ってる」
今日は学ボラの日。
学生ボランティアの略で、市内の大学生が週に何度かちしま学園に来て、勉強を教えてくれたり、一緒に遊んでくれたりする日だった。
実は穂香先生もこの学ボラをやっていたそうで、その時の子ども達の可愛らしさと、先生方の仕事のやりがいの多さにひかれて、この仕事を選んだと言っていた。
最初は学校の先生になるために大学へ進学したけれど、途中で目標が変わったのだと。
……いいな、穂香先生は大学へ進学させてもらえて。目標がはっきりしていて。
わたしは何を目標に勉強すればいいんだろう。