幸せの種


女子の輪の中に入れないのも、きっとわたしが『空気』になりきれないせい。

できるだけ空気でいようと努力しているのに、どんくさいわたしは周りの足を引っ張ってしまう。

周りの子をイライラさせてしまって、責められると逃げ出したくなる。

実際に逃げたり、耳をふさいだりしては、また責められて。


おばあちゃんやみさちゃんに叱られたことを思い出してしまうから、できるだけそばにいないようにしたいのに、学園では『女子棟』と『男子棟』に分けられて、逃げ場が限定されてしまう。

学校にも各クラスに最低二人から三人は学園の子がいて、わたしの教室での行動もチェックされている。

何かすると、すぐ女子のボスである『ミーナちゃん』のところに連絡され、意地悪される。


学園の先生に注意してもらったりすると、陰でますますひどくいじめられる。

……早く、ミーナちゃんが卒園してくれたらいいのに。

わたしはこっそりそれを願う。きっとわたしだけじゃない、学園の女子はみんなそうだと思う。

表で言わないだけ。


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