幸せの種
教室の中にいる時は、少しだけ安心できる。
ここならさすがにミーナちゃんが直接乗り込んできて、私を殴ったり蹴ったりすることはないから。
学園にいる間は、穂香先生や琉君がそばにいる時しか安心して過ごせなかった。
他のみんなは、裏でミーナちゃんに操られているものと思って用心しなくてはならない。
この子なら大丈夫だと信じていたのに裏切られたことが、一度や二度ではなかった。
わたしにはわからない。
どうしてミーナちゃんはこんなにわたしを憎んでいるのか。
できるだけ空気になろうとしている私の、何がいけないのか。
考えてもわからないし、本人に直接聞くことは絶対にできない。
きっと、わたしが気づかないだけで、わたしは周りをイライラさせてしまう何かがあるんだと思った。
本当に、どうして生まれてきてしまったんだろう。
数学の授業中、ぼんやりと「ミーナちゃん対策」を練っていたら、先生に当てられてしまった。
黒板で問題を解かなくてはならない。
……大丈夫、ここは前、学ボラさんに教えてもらったところ。
難なく解いたら、先生に褒められた。
学園に帰ったら、穂香先生に教えよう。
きっと喜んでくれると思うから。