幸せの種

教室の中にいる時は、少しだけ安心できる。

ここならさすがにミーナちゃんが直接乗り込んできて、私を殴ったり蹴ったりすることはないから。

学園にいる間は、穂香先生や琉君がそばにいる時しか安心して過ごせなかった。

他のみんなは、裏でミーナちゃんに操られているものと思って用心しなくてはならない。


この子なら大丈夫だと信じていたのに裏切られたことが、一度や二度ではなかった。

わたしにはわからない。

どうしてミーナちゃんはこんなにわたしを憎んでいるのか。

できるだけ空気になろうとしている私の、何がいけないのか。


考えてもわからないし、本人に直接聞くことは絶対にできない。

きっと、わたしが気づかないだけで、わたしは周りをイライラさせてしまう何かがあるんだと思った。

本当に、どうして生まれてきてしまったんだろう。


数学の授業中、ぼんやりと「ミーナちゃん対策」を練っていたら、先生に当てられてしまった。

黒板で問題を解かなくてはならない。

……大丈夫、ここは前、学ボラさんに教えてもらったところ。

難なく解いたら、先生に褒められた。

学園に帰ったら、穂香先生に教えよう。

きっと喜んでくれると思うから。


< 75 / 175 >

この作品をシェア

pagetop