幸せの種
中学校生活はあっという間だと、穂香先生は言っていた。
小学校の半分しかない上に、やらなくてはならないことが多すぎるから。
結局、部活に入らないまま、わたしはまた学園と学校の往復だけをする。
それでも、琉君と一緒に歩けることで、登下校のトラブルは激減した。
今までは、ミーナちゃんに命令された子が、色々な方法でわたしを困らせてきた。
だけど、琉君はそういう子と私を近づけさせないように、がっちりとガードしてくれる。
琉君が何かの用事でいない時は、同じ中三の男子がわたしを守ってくれるよう、お願いしてくれているらしい。
学園にいる間は、穂香先生が見張っていてくれる。
だからわたしも、穂香先生のお手伝いを頑張ろうと思う。
幼児さんの洗濯物を一緒にたたみながら、のんびりおしゃべりする時間が楽しい。
勉強も、学ボラさんには主に数学や英語を見てもらい、一番苦手な国語は穂香先生が教えてくれた。
少しずつ成績が上がってきたのを感じて、嬉しくなる。
だって、学園に来たばかりの頃のわたしは、小学二年生だというのに、平仮名もろくに書けなかったのだから。