羊だって、変るんです。
先を歩いていた高阪が扉をノックした後「小鳥遊さんをお連れしました」と言うのを聞いて緊張してきた。

「入ってもらって」

何時もと違い仕事用の硬く威厳のある声が室内から聞こえて来た。

「どうぞお入り下さい」

ドアを開けて貰い、中に入ると、初めて会った時と同様に、壁際の書棚からファイルを取り出している所だった。

「失礼します。」

一人室内に入ると後ろでドアが閉まる音が聞こえた。

「久しぶりだね。ここで会うの」

先程とは打って変わって柔らかい笑みを湛えた凱がゆっくりとこちらに歩いてくる。

「うん。何か緊張するね」

照れくさそうに笑いながら、紙袋の中のサンドイッチやパスタを出してくる。
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