羊だって、変るんです。
あまりに近くで声がしたので、驚いて手を外して凱をみようとすると、そのまま抱きすくめられた。

「?!」

『こんな所を誰かに見られたら!』

慌てて離れようと手で凱の胸を押し返そうとしたが、更に強い力で身動きが取れなくなった。

「が、凱?!」

「大丈夫。鍵はかけたから」

『何時の間に?!』

あまりの用意周到さに声も出ない。

杏奈の項じに顔を額を乗せて、鎖骨の辺りで話す凱の吐息にくすぐったさだけでなく、体の奥がジンとする。

『ス、スキンシップ多くない?!・・・恋人同士ってこんなもんなの?!
いや、恋人同士ならそれ以上も・・?!それ以上?!』

脳内で忙しなく思考が巡っていくが、どう考えても暴走している。

心臓が暴れていて酸素が上手く頭に回らない。

『キャパオーバーだ・・・』

脳みそも、心臓もフル稼働に耐えられず、遂にフリーズしてしまう。

くたりと体から力が抜けた杏奈を訝しんで腕を緩めると、そのままソファーに倒れこんだ。

「杏奈?!」

凱の慌てた声が遠くで聞こえた。
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