羊だって、変るんです。
「あぁ、そうだ。体調を崩したのでこちらで体調が戻るまで様子をみる事にした。」

ぼんやりとしたした意識の中で、凱が誰かと話している声が聞こえて来た。

『あれ?・・・私どうしたんだっけ?』

現状を把握出来ず、室内を見渡す。

と言っても、自分の右隣はソファーの背もたれがあって見えず、左隣には質の良い、一人がけのソファーが見える位だった。

『そふぁー?』

ソファーの見え方に自分が横になって居ることに気付き、ゆっくりと起き上がり、声のした方を見る。

「あ?!」

凱を見た瞬間、全てを思い出した。

「ごめん!私!戻らなきゃ!」

立ち上がろうとして、バサリと落ちたジャケットに目が行く。

手触りの良い、上質なジャケットは、勿論自分の物ではない。
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