羊だって、変るんです。
「眠いだろうからシート倒して寝てて。着いたら起こすから」
「え?いいよ起きてる」
杏奈に運転をさせておいて、自分が助手席で寝るなんて考えられないようだ。
「最近仕事忙しいんでしょ?うちまで2時間ちょっとはかかるから、その間少しでも寝てくれた方が助かるよ」
「助かる?」
「うん。お父さんも怜苑達もお酒強いから、速攻潰されるよ」
慣れた手つきでハンドルを操作し、車の流れに乗って走る。
「杏奈は弱いのにね」
「残念ながら、私はお母さんに似たの」
「お母さん・・は・弱い・の?」
心地よい振動に凱の瞼が下がって行くのを、少し嬉しい気持ちでチラリと見る。