羊だって、変るんです。
「あらあら、当てられちゃったわ」
ケラケラと笑うおばさんを後に、商店街を抜けると住宅街になった。
少し入り組んだ道を入っていくと、神社が見えてきた。
神社の石段を上がり最上段に腰掛け、先程の商店街で買ったコーヒーを一緒に飲む。
「凱と地元を歩く日が来るなんて思って無くて、凄く驚いてる」
「僕は杏奈の地元を一緒に歩けて嬉しいよ」
「私、地元のいい思い出って、商店街のおじさんやおばさんと話した思い出しか無くて、帰って来ても何処にも行かなかったんだよね」
話すのを黙って聞いていたが、杏奈は俯いていて、その表情を見ることは出来ない。