羊だって、変るんです。
「ちょっとどうしたの?!」

布団を敷き終えた杏奈が、騒動に驚いていた。

「どっちが凱を部屋まで抱っこして連れて行くかで揉めてるの」

ニヤニヤと怜苑が杏奈に説明する。

「ちょっと待って!二人とも落ち着いて!」

「「杏奈は黙ってろ!」」

紫苑と蔵人に切れ気味に言われた杏奈は、ワナワナと拳を揺らした。

「あのねぇ、酔っ払いの戯言で、凱を傷つけないで!」

「「え?」」

杏奈の一言に、二人は大人しくなった。

「彼女のうちに来て、潰れたって事だってショックでしょ?
それなのに、彼女の父親や兄に抱っこされて寝かされたなんてなったら、二度とココに来てくれなくなる!
自分たちの意地より凱の事を考えて!」

杏奈に睨まれて、二人も我に返った。
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