羊だって、変るんです。
「悪かった」

そう言われて杏奈も首を振った。

「凱、水飲める?」

屈み込んで、凱の体を揺すりながら声を掛けると、薄っすらと眼が開いた。

「ごめ・・ん。寝て・・た?」

「大丈夫?。起きられるようなら、水飲んで部屋に戻ろう」

杏奈に支えられて状態を起こし、水を飲んだ時立ち尽くす蔵人と紫苑に気付いた。

「?」

凱に不思議そうに見上げられて、バツが悪そうに席につく二人。

「ほらほら、紫苑ワシのコップが空じゃ、注いでくれ」

「父さんのコップも空だな」

重蔵と怜苑の助け舟で、何とかその場を乗り切る。

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