羊だって、変るんです。
「凱、部屋まで歩けそう?」

水を飲んだお陰で、少し酔いが覚めた凱は杏奈と一緒に部屋に戻って行く。

二人が出て行く姿を眺めながら「杏奈もシッカリしたもんだ」としみじみと話す重蔵に一同頷いた。

「恋をすると人は変わるのよ」

いつの間にか空いた皿を片付け終わって台所からこちらの部屋に、葡萄を持ってやって来た綾子が言う。

「そうだね」

蔵人が頷くと、重蔵が「ごちそうさん」と苦笑しながら小声で呟く。
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