羊だって、変るんです。
『・・・やっぱり無理。一緒になんて寝られない』

引っ付けて敷いた布団を、ドンドン離して視界に入らない位置まで移動させる。

同じ空間で寝ると思っただけでかなりドキドキしているが、姿が見えないお陰で何とか眠れそうだった。

「おやすみなさい。凱」

寝る前に凱の傍で、小声で挨拶をすると、凱が眼を覚ました。

「ご、ごめん。起こしちゃった?」

「・・・」

口が動いたが聞こえなくて、何を言ったか聞こうと近づいたら、不意に腕を引っ張られて、凱の胸に飛び込んでしまった。

「!?」

「体・・冷たいよ」

慌てて、退こうとしたが、あっという間に布団をかけられて抱きしめられていた。

「が、凱」

「おやすみ、杏奈」

耳元で少しかすれた色気のある声でささやかれ、体が痺れる。

慌てて凱を見上げたが、何事も無かったかのように眠っていた。

『どうしよう・・・動いたら目が覚めちゃうよね』

ドキドキが止まらなくて、何時もなら布団に入って直ぐに眠れるのに、全く眠気が来ない。
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