羊だって、変るんです。
脱いだ服をたたんで寝ていた布団をたたもうとして手が止まる。

『一緒の布団で寝たんだよね』

嬉しいような恥ずかしいような気持ちになる。

『乙女だな』

苦笑しつつ、手早く布団を押入れにしまい、顔を洗ってから居間に入ると、みんな席について食べ始めていた。

「おはよう」

挨拶をして凱の隣に座ると、綾子がご飯をよそって渡してくれる。

『何時もの風景に、凱が居るのが不思議な感じがする』

「遅かったな」

怜苑が意地悪な顔をして杏奈を見る。

「緊張して寝られなかったのよ」

「何、やっぱ緊張したんだ」

ニヤニヤと笑う怜苑。
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