俺にもっと溺れろよ。
わたしより、可愛い子なんて沢山いるし......告白なんかされたら、わたし以外のところに行ってしまうかもしれない。
そんなの絶対嫌。嫌だけど......。
そうやって、告白なんかされちゃったら。
もしかしたら、そうなっちゃうかもって思ってしまう。
......って、ダメダメ!
南桃花しっかりしなさい!
やっと付き合えたのにそんなこと思っちゃダメ!
わたしが朔先輩のことを凄く好きなぐらい、朔先輩にもわたしと同じぐらい、好きになってもらわないといけないんだから。
「......立てる?」
「......はい」
朔先輩の優しい声がする。
手を掴まれ、引き上げられる。
「......帰るぞ」
「えっ!」
手はギュッと繋ぎ直されて、そのまま朔先輩は走り出す。
後ろを振り返ると......風ちゃんと目が合ってパチッとウインクされる。
もぉ〜、風ちゃん。
......ぜ、絶対楽しんでる。
わたしの背中を押したのも、こういう展開になることを望んでたからとか......!?
まだ、ザワザワしている声を背にして、わたしは、必死に朔先輩についていった。