俺にもっと溺れろよ。
♡
──── その後の帰り道。
「......朔先輩」
「なに?」
「......どうして、教室まで来たんですか?」
てっきり、わたしは玄関で待ち合わせするものだと思ってた。
先輩に来てもらうとか申し訳ない。
それに──。
「どうしてって彼女迎えに行っただけだけど......」
「......えっ」
当たり前のようにようにそんなセリフを吐くから、ドキッとした。
す、すごい。そんなセリフすぐ言えるなんて。
あれ?朔先輩って、こんなこと言う人でしたっけ......?
出会ったときとは違いすぎて......ってこれも、わたしの思い違いかな。
「......ダメだった?」
......な、なんですかその顔は。
今日の昼にも見た、子犬のような顔。
わたしがその顔に弱いって知っててわざとやってるんですか。
クールでかっこいい朔先輩がその顔をしたら、破壊力がスゴすぎる。
そんな顔で言われたら......。
「......ダメじゃないです......けど」
「......けど、なに?」
......今度は、右口角を上げて意地悪な顔。