俺にもっと溺れろよ。











──── その後の帰り道。



「......朔先輩」



「なに?」



「......どうして、教室まで来たんですか?」



てっきり、わたしは玄関で待ち合わせするものだと思ってた。

先輩に来てもらうとか申し訳ない。


それに──。



「どうしてって彼女迎えに行っただけだけど......」



「......えっ」



当たり前のようにようにそんなセリフを吐くから、ドキッとした。

す、すごい。そんなセリフすぐ言えるなんて。


あれ?朔先輩って、こんなこと言う人でしたっけ......?

出会ったときとは違いすぎて......ってこれも、わたしの思い違いかな。



「......ダメだった?」



......な、なんですかその顔は。

今日の昼にも見た、子犬のような顔。

わたしがその顔に弱いって知っててわざとやってるんですか。

クールでかっこいい朔先輩がその顔をしたら、破壊力がスゴすぎる。


そんな顔で言われたら......。



「......ダメじゃないです......けど」




「......けど、なに?」



......今度は、右口角を上げて意地悪な顔。




< 177 / 220 >

この作品をシェア

pagetop