俺にもっと溺れろよ。
この顔もダメです。
朔先輩がこの顔をするときは、なにか企んでるときだもん。
確証はないけど......そんな気がする。
「な、なんでもないです!!」
2文字、後付けしなければ良かった。
「ダーメ。ちゃんと言って?」
きっと、もう後悔しても遅い。
こうなったら、先輩のペースに呑まれてく。
「わ、笑わないでくださいよ?」
「笑わないって......」
子供じみた理由に、笑われそうで念を押す。
もう、言うしかない。
「朔先輩は、かっこいいし人気があるから、教室なんかに来ちゃったら......。
来ちゃったら、みんな朔先輩のこと好きになっちゃうって思って......そんなのわたし、耐えられないから......来てもいいけどダメってことです......」
......もう、日本語めちゃくちゃだ。
しかも、矛盾すぎる。
......でも、来てくれて嬉しいけど、それでみんなが、朔先輩のことすきになっちゃったら嫌だもん。
今も朔先輩のことを好きな子もきっといると思うけど、これ以上増えたらわたし、本当に振られちゃうかもしれないし......。
......恋って難しいです。
「......」
なんで、なにも言ってくれないんですか!?