THE FOOL



痛い沈黙・・・・。


お互いにまるで言葉を探している様な間にどんどん羞恥心が強まって。


羞恥からの涙がジワリジワリと込み上げ始めたのを見計らったようにトンと肩に触れる雛華さんの髪の感触と頭の重み。



「今の声・・・可愛い・・・」


「っ・・・、今の・・は・・・違っ・・」


「その声・・凄く好き・・・」


「雛・・・」


「芹ちゃんは・・・・探れば探るほど深まるから困る・・・・」




困る?


その言葉に意識が走った瞬間半ば強引に体の向きを変えさせられた。


驚く間もなく今までと逆方向を向かされ一瞬の表情との対峙。


だけどすぐに見えない距離である雛華さんの胸の中に抱きしめられて頬で素肌の胸に触れた。


心音が・・・・速い。


それが一番最初に思った事。


次に思ったのは・・・・、


一瞬捉えた雛華さんの表情がどこか苦しそうな表情だった事。


だからなのか僅かに飛んだ羞恥心。


相変わらず無防備で危うい抱擁を交わしているというのにさっきの様な焦りは感じず。


それでも胸が見られないかと懸念しながら自分の顔を上げてみた。


これは故意に隠しているんだろうか?


視線の絡まない、もっと言えば捉える事の出来ない顔は私の顔の横に沈められて。


無理矢理引きはがすでもしない限りその表情は見えなそうだ。


どういう反応なのかも分からず。


それでも求められたまま抱きしめられ視線だけをいたるところに走らせてそれに気がついた。



「・・・・・と・・り?」



思わず捉えた物を確認するように口にしてしまうと見事反応した雛華さんがようやくその顔を明確に持ち上げる。



「・・・・・うん」


「私、本物って初めて見ました」


「そんなに珍しい?」


「私には。・・・触っても?」


「・・・うん」




許可が下りれば緩んだ腕の中から手を伸ばし、腕にあるそれをなぞる様に触れてる。


決してもう痛くない筈なのに気を使って強くは触れなくて。


かなりソフトに触れば小さく噴き出す雛華さんの息。



「擽ったいよ・・・」


「あっ、すみません」



その声に反応し、今度はしっかりその部分に触れてみた。


指先に広がるのは両羽を広げた鳥のタトゥー。

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