THE FOOL




肌に触れる指先を見つめてからゆっくりと視線をグリーンアイに移せばにっこりと目を細めて笑う姿。



「理屈じゃないんだから触ってよ」


「・・・・それは・・、さっき得た知識ですね」



ついさっき働かせた探究心により得た【触れたい】の理由。


理屈でなく、相手を確認するために触れたいものなのだと雛華さんも答えを得て。


そうしてこの大胆な抱擁に至ったのだと気がついてしまう。


だから・・・・存在しないエロス。


ああ、子供の時のようだ。


男とか女とか意識の無い子供達は平気でその距離を縮めて抱きしめあったりキスをする。


そんな感覚の関係なんだ私と雛華さんは。


少なくとも・・・・・雛華さんは。



「やっぱり・・・雛華さんは可愛いです」


「うん?ありがとう」


「可愛くて・・・・」


「うん・・・?」



少し息を飲んで言葉を止める。


やはりまだ私には抵抗があったから。


それでもそれを言えばきっと目の前のこの姿は笑うんだろうな。


笑って・・・どんな反応をするかの探求心。




「・・・だ、・・い好き・・・かも・・です」


「・・・・『かも』?」


「・・っ・・大好きです」



まさかそこに指摘が来るとは思わず、私の言葉に俊敏に反応した彼が方眉を上げてやや不満孕むそれを口にし。


慌てて訂正をきかせはっきりと「大好き」と伝えてしまった。


勿論、恋愛のそれじゃなく、子供の様な純粋な意味合いの大好きだ。


それによって出た結果。


目の前で崩れ落ちそうな程の笑みを見せた雛華さんが私の腰に手を回すと更に体を引き寄せた。


もうすでにこれ以上の密着など出来はしないというのに。




「俺も芹ちゃん大好き~。だから・・・この眼も芹ちゃんには見せられる」


「へっ?眼?」




あまりに当たり前にそのグリーンを捉えていたから、今更な言葉に一瞬呆けてからサングラスの存在を思い出した。


ああ、そっか、確かに・・・。


雛華さんは今でこそ私にはその眼を見せているけれど、基本その目をダークトーンのガラスで覆っているんだった。




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