THE FOOL



「大丈夫大丈夫。警備呼ばれたってあいつ別にねじ伏せられたりしないよ」


「いや、警備呼ばれる事に心配してくださいよ。ってか、何でねじ伏せられないって分かるんですか?」



論点が違うと非難してみるも、気になった部分に話を移すとクスリと笑った彼が昨日の話にリンクさせる。



「探求心の賜物かな」


「はっ?何ですかそれ?」


「だからあいつの探求心は凄いって言ったでしょ?興味を持ったものはとことん追求し自分の身につけていくんだ」



いまいちピンとこないそれ。


そんな私に気がつき見かねた茜さんのはっきりとした返事。



「あいつは強いよ。あいつが働かせるのは頭だけじゃない。例えば興味を持ったのが喧嘩とか武術だとしたら?」


「・・・・それすらも追及して覚えるってことですか?」


「それも・・・、納得するまで、極めるまで追求するんだから本当に恐いよ」



一瞬、茜さんの目が鋭くなった気がする。


それでも一瞬でそれを掻き消してしまったから本当にそうだったのかは理解出来ず。


すぐにいつもの様な笑みで私を見つめると、スッと手を伸ばし頬をくすぐる。



「・・・・・本当、似てるんだよなぁ」


「・・・・茜さん?」


「似てほしくない所まで似てるのが少し不安」



全く意味の分からない言葉に首を傾げれば、それはにっこりと笑う彼に誤魔化された。


追及すべき?


それでも思い出す仕事の時間。



「あ、私もう仕事・・・」


「うん、頑張って。俺と愛し合う余力は残しててねん」



と、去り際に語尾がハートマークであろう言葉に半ばあきれながら振り返ってワゴンを押す。


茜さんはそんな視線など痛くないと私に手を振ると逆方向に歩き出した。


その姿を見送って、自分も仕事に頭を切り替えようと歩き出すのに。


困った、頭の中が雛華さんへの不思議でいっぱいだ。


昨日から強烈な印象を残す姿と聞きかじった人物像。


今まで生きてきた中にこれほど独特な人はいなかったものだからその新鮮さに興味が湧く。


うーん、それに自分の親戚にもなる予定でもあるわけで。


もし出来るなら私ももう少し関係良好に接したいと僅かばかりの願望の浮上。



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