THE FOOL




じゃあ、いったい何を?


と思った直後の衝撃。



「ここにいたら芹ちゃんにまた会えるかと思って待ってた」



さらっと自分の名前が組み込まれた言葉。


誤魔化す事もボケる事も不可能な言葉に私が出来る反応は。


茫然と立ち尽くす。


うん、正解。


それか聞き間違いかと突っ込めば良かったのか。


その意図も分からない言葉の羅列に固まって見つめていると、同じように無言で見つめていた彼が何やらポケットからハンカチらしきものを取り出すのを確認する。


その直後に指先でちょいちょいと私を呼ぶ仕草。


何だ何だ?と無警戒で近づいたのはもう知らぬ関係でもなし、未来の叔父さんになるかもしれない彼への絶対的信用。


しかも今まで見てきた彼の子供の様などこか憎めない姿。


それを前提に求められるままに距離を縮めた。






瞬間・・・。



「んふぅっ・・!?」



子供って・・・・時々無茶な実験しちゃうよねぇ。


そんな事を思うのは少し先。


それをされた時は驚きの直後に意識は奪われていて、口元に押し付けられたハンカチが青い色だった事しか意識が働かなかった。





「待ってたんだよ・・・・、誘拐する為に」





そう言って悪戯に笑う雛華さんを私は知らない。


彼の恐るべき探求心は茜さんから聞かされていたというのに。





コレが始め。



私が初めて雛華さんの探求心に触れた、


実験台にされた最初の一つ。








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