目を閉じたら、別れてください。
21時過ぎ。
式場の相談ルームで、ケーキをたらふく食べてから出た。
ライトアップされた教会が、池に映って本当に美しい。
こんな会場で結婚できると思うと、胸が高鳴るのは隠せない。

「悪い、遅くなった」
車のドアを閉める音と共に、慌てて走ってくる進歩さんが見える。
車が斜めに止まっていて、急いでくれているのが分かった。

「いいよ。今日は、BGMと会場に飾る花の予算と、あとケーキカットのケーキのデザインを大体決めたよ」
「助かる。新部署さ、俺以外の責任者がいないから俺いないと進まない仕事ばっかでさ」
ネクタイを緩めながら、彼もライトアップされた教会を見ている。

「てか、そのマスクどうしたんだよ。まだ風邪?」
「うん。咳が止まらなくて」

するりと肩に手が伸びて、引き寄せられた。
頭に顎を乗せて、ぐりぐりとじゃれてくる。
仕事は忙しくても、性欲はある。なのに最近私が体調が悪いので我慢してくれているのが分かった。
 その反動で、スキンシップが激しいけど。

「ちゃんと病院行った?」
「……まあ」
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