目を閉じたら、別れてください。

進歩さんは適当に選んだタキシードだったのに、完璧で似合いすぎて、まるで王子様そのものだった。
私は用意されたアクセサリーと簡単に整えてもらった髪。

なのに並んだ姿を写真に収めてもらったらなかなか、――なかなか似合うのでにやけてしまった。


「やっぱこの色、いいな」
「良く似合っておりますね」
「えー、えー……そうかなあ。ちょっと背中きついような気もするしい」

「大丈夫ですよ。もし増量しても背中のファスナーはお花で隠せますので」

「そうですか……」

二人の大プッシュによりなんとか決まった。
これで式場の飾りつけとかケーキとか、色々進められる。


進歩さんはそのまま午後から出勤し、私は有給だったのでそのまま電車に揺られて家に帰った。

その場で現像してもらったウエディングドレスの写真。データももらって携帯で眺める。

楽しかった。このままで、大丈夫なのかもしれない。
このままで、大丈夫なのかもしれない。

恋愛結婚ではないけれど、それを望んだのは私。
それに進歩さんだって好きでいてくれていると、思う。

だったらもうこれでいいのではないだろうか。

今日は気づいたら咳が止んでいた。それが答えだ。
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