目を閉じたら、別れてください。
「おー、綺麗な人だなあ。美人美人」
そういいつつ、テレビを消そうとしたら彼女はまるで私が見えているかのように呪文を唱えた。
『私の所属事務所って30歳まで恋愛禁止なんですよ。これで解除されます』
『おめでとうございます。来年は良いニュースが聞けるのですね』
『ええー。分からないですよ。この仕事理解してくれる恋人ってそう簡単にできないですし。結婚ともなるとご両親に認められないとですしぃ。私は今度はあ』
彼に全く未練を持っているようには思えない。けれど言葉の端々に、前の恋愛に対して美化しているような美談にするような雰囲気があった。
テレビに映るのだから自分のイメージを保つために、美談にするのは当たり前だ。
きっと進歩さんのことだから、綺麗に別れたのだろう。私のように嘘なんてつかず、相手を傷つけずに別れたんだろう。
私の時もそうしてくれたら、心の中に綺麗なままでいられたのに。美談にできたか知れないのに。
まあ、お見合いの時点で無理か。
せっかく今日一日出ていなかった咳が、また小さく一回喉からこぼれた。
何度かせき込みながらも、ソファで転寝していたら電話が来た。
テレビはとっくに再放送のドラマが始まっている時間だった。
「はいー」
『寝てただろー。今、沙也加ちゃんたちと二次会の場所決めてんだけど、来れるー?』
「……笹山」