目を閉じたら、別れてください。
18時過ぎになり、お部屋を見に行った学生さんが帰ってくればあとは19時には帰れるだけになっていた。事務所は狭いのに従業員は結構多いので残業の負担がないのはちょっと助かる。
本社に居た時は、19時になってもお部屋訪問から帰ってこない社員とか多くて戸締りの係がいつまでも帰れないとか書類をまとめられないとかあった。
「焼き鳥屋さん、今日は砂ずり半額って言っていました」
「絶対食べる」
「あそこのつくねも最高ですよねえ。軟骨がこりこりしてて」
「絶対食べる」
「清潔感あるオーナーもやばいですよね。あの人35歳だって」
「え、若い」
いつも肉にしか視線を落としていなかったからオーナーの顔なんてまじまじ見ていなかった。ただあそこは美味しいし地元の人がよく来るので仲良くなれるし、けっこう好きなんだよね。
泰城ちゃんも可愛い顔して生ビールで一緒に食べてくれるから遠慮しなくてすむし。
「おおっと最後のお客さん帰ってきたかな」
事務所の前で車が止まったので、『焼き鳥―』と言いながら泰城ちゃんが車を迎えに行く。
が、すぐに踵を返してこちらに戻ってきた。
「やばい。センパイ、元カレが来ましたよ!」