目を閉じたら、別れてください。

終わってしまいたかった関係。
終わらせたかったのは、私の身勝手なせいなのは分かってる。
全部私が悪いのも分かっている。

それなのに、どうして彼はそれらを全て許して目の前に現れたんだ。

「で、俺とちゃんと話す気はある?」
「う……、ん」

彼が私の謝罪を求めているわけではないのも伝わってくる。


「今週の土日だったら、どっちが暇?」
「えっと」
「土曜の方が、次の日も休みだからってデートしてたけどどっち?」

暇ではない。
そんな選択肢は用意されていないようだった。

「あえて、金曜の夜って答えてやりたくなりますね」
「言ったな」

嬉しそうな声に、私は小さく丸まった私の爪先を見つめながら俯く。

もし本当に怒っていないのであれば、口は悪いけど彼は彼のままなのではないだろうか。

勇気をもって顔を見ようと、デスクの下から顔を出す。
そのタイミングで、給湯室から泰城ちゃんがでてきた。

「神山さん、クッキーとおせんべいどちらが好きですか。チョコもありますよ」
「いや、そこまでいいよ」
「じゃあ私の食べたいチョコにしますね」

あ!
部長が海外旅行先で買ってきたチェリーチョコレートを食べる気だ。
あれ意外と癖になりそうで美味しかった。
ずるい。

「笹山に会いに来たなんて、ただの口実だからここまでされると罪悪感がなあ」
「あらまあ。もしかしてセンパイを狙っているんですか?」

泰城ちゃんは頭のいい子だ。
が、今はそれを利用されている。
彼女は下に私がいるのがバレてることをしらないでいるんだった。

「というか別れてやるつもりはなかった、かな。俺、重い男なんだよね」

「うひょ。変な声出ました。わ、やばチョコ食べよ、やば」
「彼女には内緒、ね」

嘘つき野郎が!
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