目を閉じたら、別れてください。

「別れてやるつもりはなかったって、よくよく考えればイケメンだから重いって済まされる言葉ですよねー。センパイ、イケメン好きでもなさそうだけど」
「うーん。ディスられてるのか、褒められてるのか」
「先輩のどこが好きなんですか?」

やーめーてーくーれー!

二人のやり取りが、違う方向を向いているのに、全部私に攻撃が跳ね返ってきている。

そんな息苦しい空間に居たくない。

「本人にも伝えてないことは、他人にはいいませんよ」
「ざんねーん。あ、笹山さん帰ってきたかも」

良かった。私は死んでしまいそうなこの状態の中、あと数秒遅かったら自分の首を絞めていたかもしれない。嘘だけど。大げさに言ってしまったが、そんな心境だった。

「お茶ありがとう。彼女に重い男だって言わないでね」
「どうしようかな。笹山さーん。車の鍵はやくはやくー。予約の時間過ぎちゃいます」

同僚の笹山さんの方に二人の意識が行った隙に裏へ逃げ込もうとした。

そんな私を見抜いていたのか、一枚の紙がひらひらと落ちてきた。

「てなわけで、資料欲しいなら本社来て」
「うわあ、本当っすか。本社かあ」
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