目を閉じたら、別れてください。
「頼む。次の早番、変わるから」
「温いですね。私だって仕事があるので」
つんっと鼻先で追い払うが、笹山は私を神のように拝めて何度も何度も懇願してくる。
「叔父さんは雰囲気が怖いだけで、中身はおちゃめなオジサンだってば」
「身内だからそう言えるんだ。お願いだ。駅の角にあるスイーツ屋のケーキ、あとシュークリームも並ぶ」
「笹山、何をしてるの? はやく車を出して」
駅角のスイーツカフェ『ロマニ』は、わざわざこの駅に降りて買っていくほどパリパリの皮のシュークリームが人気。ホールのケーキは毎日日替わりで種類が違うし、たまに遊び心を入れて小さなシューで作るタワーケーキやマーブルチョコで飾り付けたロールケーキとか作ってたりと、毎日覗きたくなるスイーツが売っている。
そのこシュークリームを一時間並んでくれるなら、まあ仕方がない。
シートベルトを閉めながら心が踊り出しそうだったが、笹山は私を訝しげに見てくる。
「何?」
「いや、色気がないですよねえと」
「殴るよ?」