目を閉じたら、別れてください。
笹山が恐縮して、かちんこちんに固くなっている。緊張している笹山と、朗らかな叔父さんは対照的で格好いい。
既存のスーツが嫌いだからと、某ブランドにわざわざオーダーしているスーツ姿は、足の長さが違いすぎる。
ちょっと釣り目で無言だと怒ってるようにも見えなくはないけど、この人は特に深く考えていないと思う。
180センチの高身長と釣り目と無言なところが怖いのかな。

話せば優しく笑うのに。

「叔父……斎藤さん、神山さんはそこにいます?」

エレベーターに乗りこみ、ボタンを押した叔父さんに確認のために聞く。
いきなり会ってしまったら顔が作れないから。

「彼は今新しい部署の方に。挨拶回りとか申請手続きで忙しいみたいだよ」
「そう。大変ですね」

表情は変えないように、けれど心の中でガッツポーズをした。
会わないなら、それはそれで気が楽だ。
私が処刑台に上がるのは、金曜のままですむ。

エレベーターが下りる二つ前で止まる。
私が叔父さんの横に移動すると、二人ほど乗ってきた。

「ああ。神山。ちょうど君に話題を出してたんだ」
「――!」
< 36 / 208 >

この作品をシェア

pagetop