目を閉じたら、別れてください。
少し遅れて笹山が下りてきた。
叔父さんとは一緒ではないのを見ると、会議に向かったのだろう。
「じゃあ今日は忙しい中、時間を作って頂き有難き幸せ」
「よかろう。よかろう。俺にもっと敬意を表せ」
二人がじゃれている間、鞄の中の携帯を確認する。
『着信一件。進歩さん』
彼は私をきっと、うそをついて話し合いからも逃げ出した酷い奴だと思っているのだろう。
けど、私は短気で大雑把な性格だ。着信拒否もアドレス削除も面倒だからしていなかった。
あの一言でぴたりと連絡を止めて怖気づいてしまったのは貴方の同じでしょう。
「桃花さん。また連絡しますね」
「!」
笹山も驚いて私と彼を交互に見ている。
「し、ない! 仕事以外の話はしないです。笹山くん」
彼の手を引いて急いで駐車場へ向かう。
彼の言葉や態度は、私に謝罪をさせようとはしていない。
私をからかって遊んでいるのが分かる。
「……なんだ。連絡まだとってる仲なんだ」
「うるさい。早く出て」
彼は流石に駐車場までは送りに来なかったけれど、一階からこちらに手を振っているのが見えた。
私が悪いから謝るのは当然かもしれないが、どうしよう。
謝りたくない、逃げ出したい。