目を閉じたら、別れてください。
「そんなことあったかな」
「照れるな」
カウンターの席の下、足で突かれた。
これは立派な暴力だ。DVだ。
こんな怖い人、絶対に付き合えない。
「照れてない」
「……婚約中は、牛丼屋よりすげえとこ行ってたじゃん。立ち食い系、全部制覇するとか言って、立ち食いソバはもちろん、焼き肉、寿司、BAR」
「あれは楽しかったでしょ?」
「ああ、もちろん」
嬉しそうに応えてくる進歩さんに一瞬反応に困った。
私のウソを許して、隣に居てくれる寛大な人。
見方によるとそう見える。
意地悪だし、絶対性格悪いし、理想とかけ離れてるのに。
その笑顔を見て、私はもっと見たくなった。
カウンターの下、彼の左手を掴む。
片手ではなかなかつかめきれなかった手を、右手て握ると、彼が此方を向いた。
「……へえ」
「早く食べたら?」
「へえへえ」
「おいてくよ!」
「……へえ」