目を閉じたら、別れてください。

「やっぱりぃ、元鞘ってやつですね」

出勤して第一声の泰城ちゃんの言葉がそれだった。
昨日の帰り、二人で牛丼屋に消えただけでなぜこの子はそんなに鋭いんだ。

「えっと、うん、まあ」
私もまだよくわからないと言ったら深く突かれそうなので言葉を濁した。

「先輩、大胆な嘘も付くしあの威圧的な神山さんに対等にやりあえてるので、気を付けてくださいね」
「気を付ける?」
「私たちはか弱い女の子なんですよ。どうも向こうは、それを分かってない感じです」
「うん?」

どちらかと言えば、か弱くないので進歩さんの認識の方があっている気がする。
彼もそんな私だから強引に来てる気がする。

「それなら良いんですけどぉ」

煮え切らない言葉に首を傾げていたら、笹山がお客と共に入ってきて泰城ちゃんを呼んだ。
部屋の案内についての説明らしく、急いで仕事の準備に取り掛かりだし、その話はそこで終えた。

私も泰城ちゃんもか弱いって言葉が似合わないのでなんだか不思議な気持ちだった。

『金曜のBARのここ? 予約しとくけど』
ただ素っ気ない連絡でも、私と会いたいと思っていることが分かる気がするのは気のせいだろうか。
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