なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 異性と付き合ったことなど皆無の朱熹である。


 当然キスも初めてだ。


 二人の間にとんでもなく気まずい雰囲気が流れる。


 お互い、発する言葉を失っている。


(れ、冷静になるのよ。

い、い、今のは、き、きっと事故よ、事故。

陛下が体勢を崩してその拍子にうっかり唇が触れてしまったのよ。

……いいえ、陛下は私の腕を引き寄せて故意にキスをした。

あれはどう考えても、陛下の意思……ってあああ!)


 冷静になって考えれば考えるほど、顔から火が出るほど恥ずかしくなる。


 まさか陛下が、自分を女として見ているとも思わず、思いっきり油断していた。


 互いの性格を知らなかった時ならいざ知らず、打ち解けてきた中での不意打ちのキスは、とても恥ずかしく甘酸っぱいものだった。


(嫌とか、そういうのじゃなくて、なんていうか、なんていうか……)
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