なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 気持ちがごちゃごちゃしすぎていて、自分の気持ちを上手く表現できない。


「今日はもう、帰った方がいいだろうか」


 曙光はすっかり項垂れながら聞いた。


 かなり反省しているらしい。


「いや……でも……」


 こんな気まずい雰囲気の中別れたら、次に会う時もお互いぎくしゃくしてしまうだろう。


 戸惑っていると、曙光の口からまったく別の観点からの考えが出た。


「今帰ったら、女官たちが不審に思うだろう。朱熹が余を怒らせたと悪い噂が立つかもしれぬ」


 そんなことまで考えてくれていたのかと感心する。


「私のことはいいのです。陛下が帰りたいのならそうしてください」


 曙光は、また呼び名が陛下に戻ってしまったことに胸を痛めた。


「……帰りたくはない」
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