なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「……誰から聞いた?」


 曙光の顔が険しくなる。


 あまり触れてほしくない話題だったのかもしれないと思いたじろぐが、朱熹は逃げてはいけないと思った。


「心の声が聴こえたのでございます」


 名前は言わない。


心の声なので、朱熹に告げ口したわけではないが、あえて言う必要もないと思った。


「そうであったな。心配させたくなかったので、朱熹の耳に入れてほしくなかったが、隠し事は難しいか……」


 知ってほしくない理由が心配をかけるから。


 なんとも曙光らしい考えだと思った。


 お人好しで、優しくて、いつだって自分のことよりも相手を優先してしまう。


「私は……心配したいです!」


 朱熹は力強く伝えた。


「曙光様の、お役に立ちたいのです!」
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