なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 ……言えた!


 今日一番伝えたかったことを口にでき、朱熹は嬉しかった。


 しかし曙光には今一つ真意が伝わっていないようだった。


「その気持ちは嬉しいが、朱熹を危険な目には合わせたくないのだ」


 曙光も本音が出る。


 最初は、朱熹の特異な能力欲しさに皇后の位を与えた。


 ただ、初めて会った時から朱熹に惹かれていたのは事実だ。


 そうでなければ、結婚などしない。


 確かに皇后という立場は一番融通がきくが、好意のない者と婚姻を結ぶほど、曙光は冷酷ではなかった。


「ではなぜ、私を皇后にしたのですか?」


「それは……」


 一番近くに置きたかったからだ。


 特異な能力だけでなく、朱熹という女性含めて、欲しかったからだ。
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