なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 そんな一族が本当に実在するのなら会ってみたい、という気持ち程度のもので、彼らの感情を深く考えることができなかった。


「それなら、私の気持ちは固まりました」


 朱熹の言葉に、曙光は身構えた。


 今日届いた文に、覚悟ができましたと書かれてあった時から、曙光も覚悟を決めなければいけないなと思っていた。


 告げられる言葉は分かっている。


 だからこそ、今まで以上に緊張していたのだ。


「私は曙光様をお守りしたいです。お側に……いたいです」


「……え?」


 予想していた言葉と、まるで正反対の言葉が返ってきて、曙光は固まった。


 朱熹は、自分の元を去るだろうと覚悟していた。


 両親含む、先祖の気持ちや、何より自分のことを考えて、後宮を出るだろう、と。
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