なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹は、心の声が聴こえたとは言わなかったが、今香にはこの説明で十分なようだった。


「林冲は、天河国からの密偵だったそうですね。となると、林冲を調べるには天河国に内通者を送り込まねばいけませんね」


「そう……ね……」


 今香から具体的な案を言われて、自分がいかに無理難題を頼もうとしているのかが分かる。


 今香は正真正銘の令嬢とはいっても、後宮で働く女官。


 天河国に内通者を送り込むなんて、できるはずが……。


「分かりました。刑の執行までに調べればいいんですね」


 今香は淡々と返事をした。


「え……できるの?」


 まさか承諾してもらえるとは思っておらず、朱熹は面食らった。


「皇后付きの女官が、ただの世話係しかできないとお思いですか?」


 今香は不敵に微笑んだ。
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