なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 陽蓮の言葉が思い起こされる。


 私が望むなら、他国のことでさえも調べることができる。


 今までは、私が手にした莫大な権力の大きさに気付いていなかったから。


 いや、恐れ多くて使うことが怖かっただけだ。


 私は、宝の持ち腐れをしていたのね、と朱熹は気付く。


 問題は、この宝をどう使うのか。


 私利私欲のために使うのか、世の中のために使うのか。


(私は、命を救うために使うわ)


 林冲が、死刑に値するほどの極悪人とは思えなかった。


 何か理由があるのだとしたら、その内容によっては死刑を回避することができるかもしれない。


「今香、お願いね」


 朱熹の言葉に、今香は力強く頷き、足早に部屋を出て行った。


 あとは、待つだけ。


 林冲の死刑執行が迫る中、朱熹はただ祈り続けるしかなかった。
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