なりゆき皇妃の異世界後宮物語
きっと、曙光を殺したくなどなかったはずだ。


 でなければ、子供騙しのような手法で何度も暗殺を謀ろうとはしない。


 林冲はああ見えて、とても賢い男だ。


 彼が本気を出して暗殺をしようと考えたのなら、もっと巧妙な手口になっただろう。


 朱熹の部屋に忍び込み、曙光を襲った時も、本気で殺そうとはしていなかったのではないかと思っている。


 あれはあまりにも雑なやり方だ。


 林冲は昔、武官よりも強かったという話があるが、それでも百戦錬磨の曙光と対峙して勝てるはずがない。


 まるで、自ら捕まりにいくような……。


(もしかしたら林冲は、曙光様も守ろうとしていたの?)


 推測にすぎないけれど、妙に胸にしっくりとくる疑いだった。
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