彼女は、肝心な言葉が足りない。






 「卯月さん、最後列の窓側の席に座りなさい」



 にっこりと笑っているのに、目は嘲笑うかのようにこちらを見ている。

 腹黒なんですか。腹黒副会長なんですか。

 見てる分には面白いんだけど。こう、テロップに先生との秘密の恋とか出そうで怖いわ。

 何が悲しくて、猫被ってるような男に惚れないといけないのか。



 「……ハイ」


 
 まあ現実とは程遠い世界だってことですよね。



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