愛を私の音色に乗せて。


あの後帰りの車の中では、大野さんに

「また倒れたりしないでね?」

と何度も念押しされた。

このあいだの事がだいぶ心配させちゃったようで、
私の仕事が少し忙しくなると

「しんどくない?大丈夫?」

毎日のようにに聞いてくれる、
心配かけないように、体調管理もしっかりしないとねっ。

もう9時半か…事務所寄ってたから遅くなっちゃったなぁ。
明日も休みだけど、早く寝ないと。

「ただいま〜」

…あれ、今日はちぃ君まだ帰ってないのかな?
でも、靴はある。

おかえりって言わないの、珍しいなぁ。

「ただいま〜?」

リビングにもいない…部屋?

「ちぃ君〜?入るよ?」

返事のないちぃ君の部屋に入ると、

「…ん、紫音?」

「ごめん起こしちゃった?」

寝てたのか、ちぃ君はベットに横になっていた
でも、まだ9時だよ?こんなに早いの珍しいな、

…もしかして。

「熱っ!?熱あるじゃん…!」

おでこに触れるとすごく熱くて、少し汗ばんでいる。

「いつから熱あったの?」

私全然気づけなかったんだけど、

「なんか…さっき急にしんどくなり始めた。」

目を開けるのもしんどいのか、少し伏せ目がちにそういう。

「夜ご飯は?食べた?」

「いらない」

なんか、小さな子どもみたいになっててちょっと可愛いけど、
ご飯を食べてもらわないと薬も飲めない。

「ちょっと待っててね」

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