青夏ダイヤモンド
何もやらないのは確かに無しだよなぁ。
高校生活の思い出くらいほしいし。
勉強も両立できたらかっこよくね。
脩の一言で不穏な空気が徐々に晴れていくようだった。
勉強を本分と意見したクラスメイトも「塾とか考慮してくれるなら」とバツが悪そうに呟いた。
「じゃあ、インスタ映えスポットで決まり?」
クラスメイト達がそれぞれ濃淡のある同意を示したことによって、沖田くんは「よっしゃ!」とガッツポーズを作った。
その後はどんなスポットを作るか案出しをし、それぞれのスポットで数人のグループになるよう分けて作成チームを作り、ホームルームは終了した。
「充希ちゃんも鷹野もほんっとありがとう」
帰ろうとしていると、沖田くんが大げさなくらい頭を下げた。
「沖田くんにこそ感謝するよ。学級委員務めてくれて、みんなが楽しくなるようにって考えてくれて」
「俺はとにかくこういうイベントは盛り上がりたいからさー。そういうのにみんなを巻き込んでる自覚はあるんだけど、言わずにはいられなくてさ」
「ねぇ、これから一緒にデザイン考えない?」
私達の班は絵を描く必要があり、まずは充希が下書きを作成することになっていた。
「いいねー。それなら脩の家でやろうよ」
「おい。家主の許可無く決めんな。ファミレスでやればいいだろ」
「誰かに見られるかもしれないじゃん」
「じゃあ、沖田の家でいいだろ。距離的には変わらねぇし」
「弟も妹も自由に俺の部屋出入りするから落ち着かないんだよ。脩ん家、今の時間誰もいないだろ」
「マジかよ」
観念した脩は盛大にため息をついた。