青夏ダイヤモンド


外に出ると、既に日が沈み始めていて、沖田くんが駅まで送ると言ってくれた。

「そういえば、脩ってお姉さんか妹さんいるの?」

充希も部屋の表示を見たのか、駅までの道のりを並んで歩きながら沖田くんに訊ねる。

「そう。年離れたお姉さん。もう結婚して家出たけど、良く旦那と喧嘩して家出してくるって言ってた」

「だから部屋の表示もそのままなんだね」

「脩の話ではメチャ怖らしい。俺は可愛がってもらった記憶しかないけど」

「脩が怖がるところ見てみたーい」

「俺もー」

一人っ子の私にとって、兄弟の存在にどんな影響があるか想像できないけれど、脩が怖がるお姉さんを是非見てみたいとも思った。

「脩の両親共働きで夜遅いから、お姉さんが脩の面倒見てたらしくて、それで脩も頭上がらないんだと思うよ」

「へぇ。いいお姉さんじゃん」

私も母が遅いけれど、祖父がいてくれたことによって寂しい思いはそこまでしていなかったように思う。

家族が家にいることの心強さは思いのほか大きかったんじゃないだろうか。



< 131 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop