青夏ダイヤモンド


塾のバイトは週3日で中学1年から3年の数学を主に担当することになった。

学校帰りでも十分間に合う時間帯だったし、その条件で働かせてもらうことにした。

一度で担当するクラスは5、6人の少人数制でホワイトボードを利用して授業はするものの、大半は自分達のレベルに合わせたプリントが配られているので、それを黙々と解き、わからないところがあれば呼ばれて教える、という方式だった。

「本当に助かったよ。中3は受験もあるから授業が手薄になっちゃうと可哀想だからね。学校でも優秀なんだって?助かるなー」

丸い眼鏡に茶色いニットベストと白いシャツ、黒いスラックスを身につけた充希の叔父さんである、松戸さんは、中学生の時にいた国語の先生を思わせる温和な雰囲気が滲み出た人だった。

「いえ。こちらこそ、雇って頂いてありがとうございます」

「周りは大学生ばかりだけど、みんな優しいし僕より優秀だからわからないことがあれば聞くといいよ」

にこにこと人の良い笑顔を終始向けられて、初めてのバイトで緊張していた私の肩も少しは緩めることができた。

正式な募集は大学生以上からで、高校生は私1人しかいないらしい。

充希の知り合いということで特別に採用してもらえたのと、それほど切羽詰まっていたということだろう。



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