青夏ダイヤモンド


初めての授業は中学1年生で懐かしさも感じながら、質問されたことに答えていった。

小学生の時の基礎があやふやな女子生徒がいて、遡って教えていると、突然閃いたように顔を輝かせてプリントに食いつくようにペンを進め、「こういうこと!?」と興奮した声で私に解答を見せた。

「すごいっ。1人で最後まで解けたね」

「次もわかる気がするっ」

さっきまでは頭を抱えて顔をしかめていた女子生徒が今は先を急ぐようにペンを走らせている。

松戸さんから聞いた話によると、この塾に集まって来る生徒の中には他の塾ではついていけなくて、ここに通うようになった子もいるらしい。

勉強が嫌いな子も多いが、それはその前の基礎があやふやなだけだと松戸さんは言う。

本来であればわからないことがわかるというのは面白いこと。

勉強の本来の楽しさを伝えたいと思いながら、小さな塾ながらに経営を続けているという話だ。

さっきの女子生徒のように輝いた顔を目の当たりにすると、松戸さんがそういった信念を持ちたくなるのもわかる気がした。



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